【21.03.29】新年度予算に対する反対討論
たくさん注文を頂いたと 感想もいただきました。
3月議会で本会議で行った討論のうち、2つを掲載します。
一つは、新年度予算に対する反対討論で、
ある、市幹部からは「たくさん注文を頂いた」との感想を頂きました。
がんばって書いている討論なので、そんな感想でも、良い励みになります。
もう一つは、
少人数学級に対する賛成討論です。
第10号議案 令和3年度尾張旭市 一般会計予算 に対する 反対討論
この1年は、突然の小中学校 休校を皮切りに、新型コロナウイルス感染症対策に振り回された1年だったと思います。
ワクチン接種がはじまりましたが、供給量の不足から、先の予定も見通せず、いつ接種が終わるのかわからない。変異株の感染拡大も心配され、先の見えない状況が続くと思われます。
最前線でお仕事をされている医療従事者の方たちへの感謝はもちろんですが、過去に経験したことのない対応を迫られている、市長をはじめ市職員の皆さんにも、まず、ここで、感謝とねぎらいの気持ちをしめしたいと思います。いつもありがとうございます。そして、最近庁舎内で、聞こえる内容ですが、
「みんなで力を合わせて、乗りこえていきましょう!」
(青木さやかふう)
(※ 尾張旭市出身の芸能人、青木さやか さんに、市政50周年のPR大使をお願いしています。そんな状況なので、3月現在、午前10時と、午後2時に、市役所内の館内放送で、青木さんのメッセージが流れています。
メッセージの一部「みんなで力を合わせて、乗りこえていきましょう!」を、討論に入れてみました。討論を聞いていた人が気づいたかどうかは、わかりません。)
市長の施政方針演説では、新型コロナウイルス対策として、10回の補正予算を編成したこと、市議会とも力を合わせて実施してきたと、ご紹介がありました。市議会出身の市長には、気持ちの通じることがあると感じた一言で、うれしく思いました。
市議会からは、議会質問という形ではなく、市に対する要望として、各会派が個々に意見をまとめ、繰り返し申入れをしてきましたが、補正予算の中には、申入れ内容を参考に検討して頂けたと思えるものもありました。
今回のように、申入れを次々に行う手法は、市議会が緊急時にどのような対応を取るか、大規模災害を想定して、議会改革のなかで検討してきた方法ですが、これまでの検討が土台となって対応できたものだと思っています。新年度予算からは、外れたお話ですが、ここでご紹介させて頂きました。
本題に入ります。
まず、市民生活の苦しさが、予算上どのように現れているかという点では、個人市民税で約5億円、法人市民税では約2億円の減少が見込まれています。
リーマンショック時の数字を参考に下落額を推定したと聞きましたが、今回影響が出ているのは、金融ではなく実体経済で、影響の大きいとされる飲食業は、当市でも影響が大きい業種ではないかと思われます。税収の落ち込み以上に、経営上の困難に直面している店舗も多いのではないかと考えると、支援策を講じる必要を感じますが、地方自治体の体力でどこまでできるのかを考えると悩ましいところです。政府に対し、市からも強く補償を迫るよう、お願いしたいと思います。
法人税収の落ち込みについて、もう一点特筆すべきは、先ほど可決した、令和2年度一般会計補正予算(第10号)で、減収補填債が計上されたことです。当市の財政運営としては、この減収補填債の発行は当然の判断だと、総務委員会での説明を聞いていましたが、これまでに記憶のない計上であり、それほど不測の事態が、現在進行形で生じているということです。繰り返しになりますが、もっと支援策を講じる必要を感じます。
歳出を見ると、生活困窮者自立支援事業、生活保護費、ひとり親家庭等支援事業、小中学校の就学援助なども関連がありますが、批判があってもGoToキャンペーンを続けていた、政府の甘い見通しが、市の当初予算にも現れ、予算措置も後手に回っていないでしょうか。
新型コロナウイルスは、ひとり親家庭、特に母子家庭の経済的困窮や生活保護制度が親族に強く支援を求める制度となっていることなど、例にあげるときりがないほど数多くの問題を日本社会が抱えていることを、思い知るきっかけになったと思います。ごく部分的に、この後の補正予算、第30号議案で対応されているものもありますが、今後の、迅速で柔軟な対応を求めておきます。
次に、批判点です。
街路事業費における三郷駅周辺まちづくり事業については、この間、個人質問で問題を指摘してきました。私自身の事業に対する理解も進んできたという自覚がありますし、何よりも地域の方の強い思いがあるということも理解しますが、納得できないのは、財政見通しが鮮明になっていないということです。
議会基本条例に照らして、問題があると考えていること。そして、駅前再開発事業という手法そのものが、経済成長、地価上昇、人口増加を前提とした古いものだと考えると、時代に合わなくなっているのではないかと思います。
そのため、この事業を着手するには、慎重になったほうが良いと考えます。これまでは、この事業の実施の可否も含めた検討予算という理解で、調査費用については認めてきましたが、市の組織変更まで行って推進体制をつくるというのは、承服しがたいと感じています。
新年度予算に対する、大きな反対理由として示しておきます。
次は、注文を付けておきたいことや評価する部分です。(予算書のページ順)
重点事業でも紹介のある、AI・RPA推進事業 (P111 重点 P47)
(マイナンバーカードP131 重点P46)についてです。
RPAは、将来性のある道具として期待していますが、それを使って何を実現するのか、その考え方を注意しておくべきだと思います。
業務の作業効率が向上することにより、市民サービスの向上につなげていくことが重要です。単に人件費削減では問題があると思います。
新年度予算では、マイナンバーカードへの対応も、国の補助の下で推進される内容になっていますが、今後の電算システムの方向性として、全国的な標準システムを使用する場合が多くなると予想しています。複雑になった電算システムをカスタマイズすると、その費用が高額なものになりかねません。 このため、国や県が用意した標準システムに、自治体の独自策を合わせていく、画一化という結果を招き、それでは地方自治が成り立たなくなるのではないでしょうか。
私は、3月議会で、国民健康保険税の均等割について、18歳以下の子どもの均等割を免除できないか、そのために必要な費用はいくらかお聞きしました。2800万円という答弁をいただき、思ったより少ないというところで終わりにしましたが、担当課からは続きの話も聞いています。 尾張旭市独自で行おうとすると、システムのカスタマイズにいくらかかるか不安がある、法改正のたびに、カスタマイズの変更も必要になる可能性もある。という話です。
住民のために市が独自策を打ち出そうとしても、電算システムの仕様変更にお金がかかり躊躇するという事態が、すでにおきていると言えます。
そこで、方法として考えられるのが、市職員の手入力による作業をRPAで置き換えることです。今回は、国保税の減免を例に説明しましたが、市の独自施策に対し、全国的な標準システムが障壁とならないよう、RPAの使用方法として検討をお願いしておきます。
(P145 地域自殺対策事業)
3月9日夕方6時頃、私が市役所で翌日の本会議の準備をしていると、名鉄電車の長い警笛が続き、その後、静かになりました。しばらくすると、緊急車両が何台も集まってくるのが音でわかりました。外を見ると、「うちゅうぼうえいぐん」の周辺に、赤いパトライトが集まっているのが見えました。
翌日の新聞報道によると、市内在住の22歳の女性が自殺したそうです。自殺に至った理由はわかりませんが、市役所に最も近い踏切での自殺ということで、行政に何か言いたいことでもあったのだろうかと、私も話を聞くことがなかっただろうかと思いました。 女性の自殺がコロナ禍で増加していると言います。
社会福祉費の地域自殺対策事業は、前年同額となっていますが、相談事業だけでなく、具体的な支援策を講じられるように考えなければならない課題だと思います。
(P159) 福祉医療費支給事業では、こどもの医療費の窓口負担について、18歳到達年度末までの入院費用に対する医療費助成を実施していただくことになりました。ありがとうございます。
4月からの開始は難しいだろうと考えていましたが、ご努力頂きありがとうございます。聞くところによると、尾張旭市が実施する考えが近隣市に伝わり、瀬戸市や長久手市へも波及した様子です。近隣の施策を、尾張旭市が先導できたということは、子どもは宝、を施策の柱と掲げる森市政の、面目躍如ということになるのではないでしょうか。
いずれ、通院についても実施が求められると思います。入通院を対象としているところは、すでに珍しくも無く、次は、遅れを取らないようにお願いします。
(P163)児童福祉費の子ども会活動支援事業については、重点事業でも紹介されていますが、予算上は減額となりいぶかしく思いましたが、市子ども会連絡協議会が維持できなくなった中、これまで施設使用時の減免が受けられなかった団体も対象とするなど、支出では見えない支援もあり、色々ご検討頂いた結果だと受け止めています。地域のこども会活動がやりやすいように、今後も取り組んで頂くようにお願いします。
(P181) 放課後児童対策費の放課後児童健全育成事業については、試行段階だった、児童館のランドセル来館「ランらん」を、来年度は、本格実施すると聞きました。
この間の試行で、児童クラブの待機児童対策にも一定の効果が見られるなどの効果もあったとお聞きしています。複数の議員が議会質問で取り上げ実現した事業で、本格実施となることを喜んでいますが、民間学童の運営に影響が出ていないか、今後も注意深く見て、支援の必要性もご検討頂けるようお願いします。
(P201)環境対策費 再生可能エネルギー利用促進事業については、前年同額の事業ですが、この3月議会では2つの会派が代表質問で地球温暖化対策について言及されている課題です。小水力発電の話もありましたが、まだまだ不十分ではないかと考え、取組みの強化をお願いします。
(P223、P225 商工振興費 について)2019年4月に施行された、小規模企業・中小企業振興基本条例を背景に、産業立地推進事業における 産業振興基礎調査や
小規模企業等振興事業における 小規模企業等補助金が年々増額しているなど、
市内中小零細企業の支援にご尽力頂いている姿勢がうかがえます。来年度においては、調査結果をもとに、本市の特徴をつかんだ振興策が作られることを期待しています。
(P247) 交通対策費 の印場駅バリアフリー化整備事業については、重点事業の概要にも記載があるとおり、駅南側および駅構内のエレベーターを先行して整備することとなり、その設計を新年度すすめる内容になっています。地域の皆さんからも、印場駅のバリアフリー化を望む声を頂いており、私からも感謝したいと思います。
駅北側の整備は、第2期工事となりますが、そのためには名古屋市側で遅れている、霞ヶ丘線の開通が順調に進む必要があります。植樹祭に開通が間に合いませんでしたが、遅れないように連携をお願いします。
(P275 )教育振興費における いじめ・不登校対策推進事業 の拡充については、 重点施策の概要でも紹介のあるところですが、この間、市議会でも取り上げられ、対策が強化されるものと受け止めています。いじめ対策の方法論としては、様々あると思いますが、保護者や学校、教育委員会。これらの関係が風通しの良い関係となるように配慮しながら進めていただけるようお願いしておきます。
この間、論調として気になっているのは、いじめをゼロにするという理想論から、学校現場でいじめゼロが目標になってしまったり、それにより教育委員会に早めの相談ができなかったり、保護者に対しても情報を隠すということにつながるなど、問題の初期段階で、早期に手が打てなくなるような状況を作り出してはいけません。
いじめは無いにこしたことはありませんが、それを具体的な目標としてしまうことは、弊害が大きいと考えます。関係者の良好な関係を築き、早期発見、早期対策が取れるように組み立てて欲しいと願っています。
(P309)次に図書館費の 図書館システム更新事業についてです。
これは、債務負担行為で6年間の支出が見込まれる事業ですが、他市の図書館の貸出機などを使ってみると、当市のものは反応が遅かったり、一度に読み取れる冊数が少なかったりと、見劣りする状況でした。システムの更新は、数年前から検討をしていた様子ですが、ようやく更新するのかと、楽しみにしています。利用者や子どもたちが使いやすいものを選定し更新していただけるようお願いします。
以上、長くなりましたが、反対討論といたします。
陳情第2号 国の責任による「20人学級」を展望した少人数学級の前進を求める陳情に対する 賛成討論
OECDの「図表で見る教育」2020年版で、日本の平均学級規模数を見ると、
小学校では、OECD平均21人のところ、日本では、27人。
中学校では、OECD平均23人のところ、日本では、32人。
となっています。
世界的に見ると、一クラスの学級規模は20人前後がほとんどで、グラフにして各国の平均を並べて見ると、日本の学級規模が多いことは、ハッキリ分かります。
海外で、学級規模が20人程度となっているのは、教育効果が高いためであって、これからの国際社会に通用する人材を育てていく上でも、国家戦略として、学級規模を検討しなければならないと考えます。
小中学校だけでなく、高校や幼児教育の場でも、その規模を問い直していくべきです。
政府は、今後5年かけて小学校の35人以下学級を実現していく計画ですが、この対応は、財務省の抵抗によりしばらく膠着状態だった学級規模が、ようやく35人になっていく程度のもので、世界的な水準に近づくまでになるには、あとどれだけ時間をかけるつもりなのか問いたいです。
コロナ禍で、実施された分散登校により、多くの学校で、少人数学級を体感し、その良さを実感することになりました。少人数学級を求める声が、かつてなく広がったのはその結果だと思います。
中教審の資料から少し紹介しますが、全国市長会からは「まずは、35人学級そして30人が多くの意見」
日本PTA全国協議会からは「少人数クラスの実現は避けられない」などです。
少人数学級を求める意見書が、多くの自治体から出されていることは、趣旨説明の中でも紹介がありましたが、都道府県からのものは過半数を超えているそうです。
陳情を議論した、福祉文教委員会の話を聞いていると、21人だったら、10人と11人編成になるのはいかがか、あるいは コロナが過ぎれば、ソーシャルディスタンスは取らなくて良いかのような議論もありました。
陳情書で求めているのは、20人以下ではなくて、「20人程度を展望する」ということで、そのために、今から政府に対して、声を上げていこうという話です。
20人程度であれば、21人でも構ないと思います。柔軟に対応できるような制度設計にすれば良いだけです。
ソーシャルディスタンスの話で、コロナが終息すれば教室が広すぎるとお考えの方もいるようなので念のため言っておきますが、世界的感染症が出現する時間的間隔は、狭まっています。エイズ、MARS、SARS、コロナ。これは、人の移動が世界的に活発になっていることを背景にするもので、これからも起こりうると考えるべきです。
また、欧米の多くが日本より広い教室で20数人の学級規模です。今の日本の教室の基準は、20人程度の学級規模が実現しても、広いわけではありません。
この陳情書のタイトルにある、「20人」を見たとき、正直言って私は面食らいました。これから35人にようやく進むという段階で、20人って言うのかと、驚きもしましたが、この取組みを、すぐにはじめても、何年もかかりそうだと考えると、今から声を上げていくべきだと考えます。 皆さんのご賛同をお願いし、賛成討論といたします。