【18.09.28】 趣旨採択とは
趣旨採択の解説
趣旨採択
請願について、願意は妥当であるが、実現性の面で確信がもてないといった場合に、不採択とすることもできない としてとられる 請願に対する決定の方法のことをいう。
請願に対する意思決定は、理論的には採択か不採択の2種類しかない。
しかし、議会としては、請願の願意については十分に理解できるが、当該地方公共団体の財政事情等から当分の間は願意を実現することは不可能である場合等に、
便宜的に「趣旨には賛成である」という意味の議決をすることがある。
その趣旨のみ取り上げるということから「趣旨採択」と呼んでいるが、どちらかというと採択に近い。
もともと請願についての議決は、議会の意思を決定するものであって、議会が採択し送付した請願について関係のある執行機関は、誠意をもってその処理に当たるべきとしても、必ずそのとおりの措置をとらなければならない法的義務が発生するものではない。
したがって、採択なのか不採択なのか必ずしも明白ではない「趣旨採択」という議決があったとしても、これを無理に採択か不採択かに区分しなければ実務的に困るということは無いわけである。
執行機関としては、趣旨採択となった請願について、財政事情等に変化があった場合に、議会意思の実現に努力すればよいわけである。
注意点
1 請願について、実務上「趣旨採択」という議決が行われるが、不採択とすることによって請願者等に与える影響を配慮してのことと考えられる。
このような配慮は、請願なるが故に出てくるもので、議案には考えられないことである。
しかし「趣旨採択」は、あくまで便宜的な処理方法であって、乱用してはならない。このようなあいまいな方法をとらないとするのなら、採択又は不採択とすればよい。
2 略
出展:地方議会運営辞典 (3版 平成14年8月)「趣旨採択」